映画 麻雀放浪記を観たよ

映画を観たのも久しぶりです。
最近の飲み会で麻雀放浪記の話題が出たので、これを機にアマゾンプライムで(100円)観てみました。

原作は阿佐田哲也の小説で、それの映画版(1984年)です。

第二次世界大戦終戦直後の上野が舞台ということもあり、崩れ落ちたビルの瓦礫が放置されたまま、
家はボロ屋ばかりというような荒れ果てた光景がまず目を引きます。

しかし、荒れ果てているのは風景ばかりではなく、人の心もすさみ、
主人公の未成年の坊や哲は刃物を持った強盗に早々に襲われます。
が、坊や哲はそれほどたじろぎもせず、というところから、まあそういうことが日常茶飯事に起きているような時代です。

強盗は実は坊や哲の知り合いだったところから話の流れで賭場に誘われて、そこから坊や哲のギャンブル人生が開いていく……
というストーリーです。尤も、主役級は坊や哲だけではないので、群像劇の側面が強い作品と言えます。


それで、小説版の方はよく知りませんが、
この映画は、特に主役級俳優の各見せ場をしっかり作ってあるのが印象に残りました。

愛嬌たっぷり……でも擦れた人生を送っている感が堪らない加賀まりこさん、

天然なのか、しっかり演技なのか分からない、どこかネジが足らない共依存っぷりが天元突破している大竹しのぶさん、

妙に汚い風貌だけでなく、言動が極限までおっさん臭い名古屋章さん、

息を吸うように人を騙し、殴り、睨みつける悪魔のような形相が印象的な鹿賀丈史さん、

ただのお爺さんのようなのに、執拗に、確実に勝利をものにしていく貪欲で誰よりもギャンブラーな生き方を見せる高品格さん、

上記の胃もたれしそうな濃すぎるキャラ達の爽やかな胃薬的な存在……と思いきや、なかなかにアクの強いところを見せてくる真田広之さん、

と、まあ本作は麻雀の魅力というよりは、各主役級俳優の凄さを実感させるための作品という印象でした。


本作は109分ということもあり、麻雀そのものが主眼というよりはどぎつい人間模様に主眼を置くことに全力を置いているようでしたが、
まあそれでよかったと思います。
麻雀そのものをクローズアップするなら、109分ではとても足りないですからね。いい判断ですよ。


それにしてもラストには笑わせてもらいました。
出目徳を葬る流れのシュールさとカオスさ加減は、いい意味で日本映画らしいと思いました。


というところで、本作を星10個満点で評価するなら、

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

となるでしょう。


まあ見せ方はうまいと思いますよ。飽きることなく最後まで楽しめました。
映画の制作年代からか、現場ではなく撮影所でのセット感はやや目立ちましたが、
俳優の演技がそれをカバーしていたと思います。

麻雀そのものを楽しむなら、原作の小説とか漫画でじっくり読むということになるでしょう。

それにしても、本作そのものはフィクションですが、
戦後すぐの絶望的な風景や景気のなかで、それでも人は逞しく生きていくものなのだなあ、
実際、それだからこそ、日本は長い昭和の中で力強く復興してきたのではないか、と感じました。

野太く出鱈目な生き方で戦後をそれぞれに生き抜こうとする彼らの群像劇「麻雀放浪記」、見て損はないと思いますよ。

主題歌 東京の花売り娘


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