【アーケードアーカイブス】悪戯天使 プレイして1面クリアしたよ!
PS4のようなコンシューマー機には、ゲーセンで稼働していたかつてのアーケードゲームを復刻する「アーケードアーカイブス」というシリーズがあり、これまでも精力的に数々のレトロゲームが配信されてきましたが、本作ほどマニアックなゲームが復刻されるとは思いませんでした。
悪戯天使 タイトル画面

本作のメーカーのニチブツ、日本物産と言えば、ムーンクレスタ、クレイジークライマー、マグマックス、テラクレスタのようにコンシューマー機に何度となくリメイクされるような名作もあれば、1980年代後半のような、いろいろとギリギリを攻めすぎている脱衣麻雀(リンク先YouTube)を発表してみたりというのが特徴のメーカーでした。
それで、本作ですが、アーケードゲームとは言うものの、当時からほとんど話題にならず、おそらく全国での稼働台数も少なく、コンシューマー機への移植もないという激レアすぎるゲームで、私自身も今年になって初めてYouTubeでその存在を知ったばかりでした。
それで、私は本作をきっと一度もプレイできないままなんだろうなーと思っていたのですが、まさかの、ハムスターさんが、ニチブツの悪戯天使を2022年11月4日になって、PS4で配信しなさったのです!ハムスターは大型のカエルに食べられる(YouTube)だけじゃないんやな!
それで本作ですが、平面8方向移動型のアクションゲームです。
主人公は緑色の髪をしたキューピッド君で、天体に広がる星を繋げて星座を再現し、敵を避けつつも、




天体内の全ての星座を再現することで、離れ離れになった男女の神々を再会させる、という内容です。
実際にENHもプレイしてみました。
ENHのプレイその1
最初のほうは、なかなかゲームシステムが理解できず、すぐにやられてしまっています。
ENHのプレイその2 1面クリア!
しばらくプレイを続けて効率的な星座の作り方が分かると、1面クリアできるようになりました。
以下、本作のプレイを振り返ってみます。
1.ファンシー&ファンタスティック!
これはニチブツらしからぬというか、まあとにかく異色作品であるのは間違いないです。
天体の星を繋げて88星座を作るという発想は教養的だし、また可愛らしくもあります。
主人公もキューピッド君ですし。
1984年というと、アーケードゲームの黎明期も終わり、日々進化する集積回路の基盤を前に、どのメーカーも新しい道を模索していくという過渡期みたいな時期ですが、悪戯天使もそうした試行錯誤の中で生まれた作品という感じがしました。
アーケードゲームにコミカルなゲームはすでに多々ありましたが、本格的に星座デザインを攻めるという試みはほとんどのメーカーでなされておらず(追記:そういやテクモのソロモンの鍵は星座ものでしたね)、そういう意味では本来ならすごく目立っても良さそうなものでした。
しかし、当時のゲーセンのプレイヤー層と、星座や、その元ネタとなるメソポタミアやギリシアの文化というモチーフが噛み合っておらず、そういう意味では「早すぎた」ゲームと言えます。
2.やや不便なゲームシステム
本作は弓から矢を射出して敵をやっつけることができるので、一見シューティングゲームのようではあるのですが、
実は弓は時間制限のある一時的なアイテムに過ぎず、メインのアクションは移動のみなんですね。
シューティングゲームだと思ってプレイする人から見れば、これは射出ボタンが壊れているのかとすら思われ兼ねないシステムであり、まあ私もプレイしてみて、実際にそう思いましたw それに、そういう理由から、爽快感にも欠けるなあと感じました。
画面にランダムで出現する弓をゲットしない限りは敵から逃げるしかなく、しかし敵はなかなかに強敵なので、無駄に辛いと思いました。
もし、いつでも弓矢を使えるようになっていたら、本作の評価は全く違うものになったと思われます。
3.敵パターンを知ろう
アーケードゲームでは基本的な戦略でもあるのですが、本作も、特に敵の出現パターンがあるのでそれを知ることが高スコアに繋がっていきます。
例えば、緑のローブを纏った魔法使いがいて物凄く強敵なのですが、決まったエリアにしか出ないという特徴があるので、
そのエリアにはどのタイミングで乗り込むかとかを考慮すると、先に進めるようになります。
そういう意味では、各エリアにある星座を作る順序を考える、というが本作の見どころ、遊びどころだと感じました。
上記にある私の2つ目のプレイ動画では1面クリアできていますが、これは敵の出現パターンをある程度見切った結果です。
2面からは敵が多すぎてパターンを把握するのは大変ですが、しつこくプレイしていけば恐らくなんとかなるでしょう。
4.デザインへの強い拘り
恐らく当時のニチブツ(と開発のアリス社)に、かなりの美術デザイン志向のクリエイターがおられたのだと思います。それくらいに本作はゲームシステムよりもキャラデザインだったり、星座や神話のデザインへの強い拘りを感じます。それが後年のビジュアル面に特化した脱衣麻雀へと引き継がれていくのではないかと思いました。
よりファンシーな方面へのシフトというのも可能性としてはあったのかもしれませんが、ゲーセンではインカムが全てであり、インカムを期待できないゲームは売れないという事情から、より刺激的な脱衣ものへのシフトとなったのかもしれませんが、これがもし神開発によって、ファンシーでも売れる作品を売り出していたら、ニチブツの未来も大きく変わったかもしれないですね。
セガのファンタジーゾーンのような作品を生み出していたら、ニチブツの美術デザイン志向はもっと報われていたかもしれないと思ったりもしました。
ちなみにファンタジーゾーンが大ヒットを飛ばしたのは、デザインがパステル調で可愛いからというよりは、まずはシューティング部分がしっかりしていて、その上で特徴的なボスもいたりという部分が評価されたからです。美術デザインが優れていたからだけでヒットしたわけではないのです。
なのでまあ、まずはインカムを見込めるゲームシステムを考えないといけないという意味では、ゲーセン用のゲームというのは、とても厳しいつくりになっているのだなぁと改めて思ったのでした。
5.総合評価
1面しかクリアしていないので、仮評価とはなりますが、星10個満点で本作を評価するなら、
☆☆☆☆☆☆☆
となるでしょう。
アーケードゲームなので、ほとんどのプレイヤーにおける100円の価値というのは2~3分程度です。
なので、本作もそういう風に作られています。なんなら1分経たないうちに100円は溶けてしまうでしょう。
そういうゲームデザインなので、とにかくすぐやられるわけで、そうなるとほとんどの人が本作の面白さを知る前にもうプレイしなくなるでしょう。
しかも本作はいつでも矢を撃てるわけではないのでなおさらです。
シューティングゲームではないと気付いた1984年のバイヤーやプレイヤーは本作に食指を動かすことはないかと思われます。
しかしながら、そうは言っても、この時代、まだまだアーケードゲーム界自体が未熟な1984年において、強い美術志向をゲームに求めたのはとても先進的・新進的であり素晴らしいです。
それにプレイしてみると分かるのですが、美術デザインとゲームをなんとかして融合させようという試みを強く感じます。
厳しい開発期間の中では、本作を洗練する時間もなかったのだと思いますが、インカムと両立するゲームバランスにもっとしっかり取り組んでいたら、本作は大化けしていたかもしれないです。
結果として、本作、悪戯天使はゲームの歴史のはざまに永らく忘れ去られたままでしたが、今回、ハムスターさんの勇断によって復刻の運びになったのは、コンピュータゲームの軌跡を追う意味で大きな意義があると思います。
ゲーセンのゲームにはまだまだコンシューマー機に移植されていない作品がありますので、今後もハムスターさんには精力的に取り組んでいただけたらと思います。
悪戯天使の他の方の動画によるプレイ例(こちらの動画で本作の存在を知りました)



悪戯天使 タイトル画面

本作のメーカーのニチブツ、日本物産と言えば、ムーンクレスタ、クレイジークライマー、マグマックス、テラクレスタのようにコンシューマー機に何度となくリメイクされるような名作もあれば、1980年代後半のような、いろいろとギリギリを攻めすぎている脱衣麻雀(リンク先YouTube)を発表してみたりというのが特徴のメーカーでした。
それで、本作ですが、アーケードゲームとは言うものの、当時からほとんど話題にならず、おそらく全国での稼働台数も少なく、コンシューマー機への移植もないという激レアすぎるゲームで、私自身も今年になって初めてYouTubeでその存在を知ったばかりでした。
それで、私は本作をきっと一度もプレイできないままなんだろうなーと思っていたのですが、まさかの、ハムスターさんが、ニチブツの悪戯天使を2022年11月4日になって、PS4で配信しなさったのです!
それで本作ですが、平面8方向移動型のアクションゲームです。
主人公は緑色の髪をしたキューピッド君で、天体に広がる星を繋げて星座を再現し、敵を避けつつも、




天体内の全ての星座を再現することで、離れ離れになった男女の神々を再会させる、という内容です。
実際にENHもプレイしてみました。
ENHのプレイその1
最初のほうは、なかなかゲームシステムが理解できず、すぐにやられてしまっています。
ENHのプレイその2 1面クリア!
しばらくプレイを続けて効率的な星座の作り方が分かると、1面クリアできるようになりました。
以下、本作のプレイを振り返ってみます。
1.ファンシー&ファンタスティック!
これはニチブツらしからぬというか、まあとにかく異色作品であるのは間違いないです。
天体の星を繋げて88星座を作るという発想は教養的だし、また可愛らしくもあります。
主人公もキューピッド君ですし。
1984年というと、アーケードゲームの黎明期も終わり、日々進化する集積回路の基盤を前に、どのメーカーも新しい道を模索していくという過渡期みたいな時期ですが、悪戯天使もそうした試行錯誤の中で生まれた作品という感じがしました。
アーケードゲームにコミカルなゲームはすでに多々ありましたが、本格的に星座デザインを攻めるという試みはほとんどのメーカーでなされておらず(追記:そういやテクモのソロモンの鍵は星座ものでしたね)、そういう意味では本来ならすごく目立っても良さそうなものでした。
しかし、当時のゲーセンのプレイヤー層と、星座や、その元ネタとなるメソポタミアやギリシアの文化というモチーフが噛み合っておらず、そういう意味では「早すぎた」ゲームと言えます。
2.やや不便なゲームシステム
本作は弓から矢を射出して敵をやっつけることができるので、一見シューティングゲームのようではあるのですが、
実は弓は時間制限のある一時的なアイテムに過ぎず、メインのアクションは移動のみなんですね。
シューティングゲームだと思ってプレイする人から見れば、これは射出ボタンが壊れているのかとすら思われ兼ねないシステムであり、まあ私もプレイしてみて、実際にそう思いましたw それに、そういう理由から、爽快感にも欠けるなあと感じました。
画面にランダムで出現する弓をゲットしない限りは敵から逃げるしかなく、しかし敵はなかなかに強敵なので、無駄に辛いと思いました。
もし、いつでも弓矢を使えるようになっていたら、本作の評価は全く違うものになったと思われます。
3.敵パターンを知ろう
アーケードゲームでは基本的な戦略でもあるのですが、本作も、特に敵の出現パターンがあるのでそれを知ることが高スコアに繋がっていきます。
例えば、緑のローブを纏った魔法使いがいて物凄く強敵なのですが、決まったエリアにしか出ないという特徴があるので、
そのエリアにはどのタイミングで乗り込むかとかを考慮すると、先に進めるようになります。
そういう意味では、各エリアにある星座を作る順序を考える、というが本作の見どころ、遊びどころだと感じました。
上記にある私の2つ目のプレイ動画では1面クリアできていますが、これは敵の出現パターンをある程度見切った結果です。
2面からは敵が多すぎてパターンを把握するのは大変ですが、しつこくプレイしていけば恐らくなんとかなるでしょう。
4.デザインへの強い拘り
恐らく当時のニチブツ(と開発のアリス社)に、かなりの美術デザイン志向のクリエイターがおられたのだと思います。それくらいに本作はゲームシステムよりもキャラデザインだったり、星座や神話のデザインへの強い拘りを感じます。それが後年のビジュアル面に特化した脱衣麻雀へと引き継がれていくのではないかと思いました。
よりファンシーな方面へのシフトというのも可能性としてはあったのかもしれませんが、ゲーセンではインカムが全てであり、インカムを期待できないゲームは売れないという事情から、より刺激的な脱衣ものへのシフトとなったのかもしれませんが、これがもし神開発によって、ファンシーでも売れる作品を売り出していたら、ニチブツの未来も大きく変わったかもしれないですね。
セガのファンタジーゾーンのような作品を生み出していたら、ニチブツの美術デザイン志向はもっと報われていたかもしれないと思ったりもしました。
ちなみにファンタジーゾーンが大ヒットを飛ばしたのは、デザインがパステル調で可愛いからというよりは、まずはシューティング部分がしっかりしていて、その上で特徴的なボスもいたりという部分が評価されたからです。美術デザインが優れていたからだけでヒットしたわけではないのです。
なのでまあ、まずはインカムを見込めるゲームシステムを考えないといけないという意味では、ゲーセン用のゲームというのは、とても厳しいつくりになっているのだなぁと改めて思ったのでした。
5.総合評価
1面しかクリアしていないので、仮評価とはなりますが、星10個満点で本作を評価するなら、
☆☆☆☆☆☆☆
となるでしょう。
アーケードゲームなので、ほとんどのプレイヤーにおける100円の価値というのは2~3分程度です。
なので、本作もそういう風に作られています。なんなら1分経たないうちに100円は溶けてしまうでしょう。
そういうゲームデザインなので、とにかくすぐやられるわけで、そうなるとほとんどの人が本作の面白さを知る前にもうプレイしなくなるでしょう。
しかも本作はいつでも矢を撃てるわけではないのでなおさらです。
シューティングゲームではないと気付いた1984年のバイヤーやプレイヤーは本作に食指を動かすことはないかと思われます。
しかしながら、そうは言っても、この時代、まだまだアーケードゲーム界自体が未熟な1984年において、強い美術志向をゲームに求めたのはとても先進的・新進的であり素晴らしいです。
それにプレイしてみると分かるのですが、美術デザインとゲームをなんとかして融合させようという試みを強く感じます。
厳しい開発期間の中では、本作を洗練する時間もなかったのだと思いますが、インカムと両立するゲームバランスにもっとしっかり取り組んでいたら、本作は大化けしていたかもしれないです。
結果として、本作、悪戯天使はゲームの歴史のはざまに永らく忘れ去られたままでしたが、今回、ハムスターさんの勇断によって復刻の運びになったのは、コンピュータゲームの軌跡を追う意味で大きな意義があると思います。
ゲーセンのゲームにはまだまだコンシューマー機に移植されていない作品がありますので、今後もハムスターさんには精力的に取り組んでいただけたらと思います。
悪戯天使の他の方の動画によるプレイ例(こちらの動画で本作の存在を知りました)



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